ザ☆カツ丼

お昼にパスタ以外のイタリアンを食べようかと地元情報を検索していたらいつの間にやら17:00。シャワーをザバッと浴びて、結局行きつけのそば屋へ。盛り蕎麦だけで良いのにうかつにも一緒にカツ丼を頼んでしまう。あー、欲望には勝てなかったっちゅうか、ネットで見たうまそうなカツ丼を思い出してしまったっちゅうか、反省しきりの中、来ました、久々のカツ丼。
大きめで底の深いドンブリのフタを開けると、黄金のごとくまぶしいばかりに輝くタマゴと、枯山水のごとくバランスの良いレイアウトで、所々から垣間見える、だし汁に染まった濃厚な色で見た目を引き締めるカツ。自分が主役であることを分かっているのであろう。落ち着き、袖からちょっとだけ顔を覗かせ、出番が来るのをじっと待っているようだ。半熟のタマゴは、時折プルプルと震え、岩にもたれかかる若い女性のようにも、子どもを守る大きな母のようにも見えた。七味唐辛子をかけると、カツ丼の香ばしい香りに、より一層拍車をかけ、いよいよ時が来たことを誰もが察し、緊張感はピークに達した。もたけは割り箸を真一文字にくわえ食いしばり、勢い良く割った。「パシッ。」それはスタートの合図となった。タマゴを柔らかくかき分け、カツ一切れの形状と配置を把握すると、タマゴと衣がカツからはがれないようにやさしく、そしてゆっくりと持ち上げ、3分の1程を前歯でひと噛みした。熱いのも構わずに、奥歯とも舌ともつかない場所で2,3回噛んでみた。衣という共通のクッションの中で融合し、口の中全体に広がる肉汁とだし汁のうまみ。そして、柔らかく、それでいてしっかりとした歯ごたえのあるカツ。さらに全体をまろやかに包み、次の一口へとリセットをかけるタマゴ。あぁぁぁ、う〜〜〜〜ま〜〜〜〜い〜〜〜〜!!!。良かった。頼んで良かった。今日、オマエに会えて良かった(言いたいだけ)。もたけは、相席の老夫婦が釘付けになる程の喰いっぷりを見せながら、黙々と食を進めるのであった。