今年でもう

今年11月でもう33歳。
あと7年で親父が亡くなったのと一緒の歳になる。
親父の33歳、自分はもう11歳だった。
この歳にして11歳の息子を持つ親父。
その頃の親父は何を考え、何を大切にしていたのか。
多くを語らず、目を見て話し合ったことも少ない、親父。
褒められた事や、叱られた事も、記憶に少ない。
しかし未だ鮮烈な記憶として残る、幼ない時分の親父の印象。
弟をいじめて投げられて開いたふすまの大きな穴、
水でも飲めと出されて飲んだ初めての日本酒、
麦茶でも飲めと出されて飲んだ初めての水割、
母と迎えに行った行きつけの飲み屋での友人と泥酔した笑い声、
それまで見た事の無かった、最初で最後の8歳の時の夫婦げんか、
曾祖母の家で酔った帰りに奪われた10歳のファーストキス、
初めて先発ピッチャーに立った試合のバックネット裏に座る猫背気味の姿、
親子のコミュニケーションを図る手段としての夕食前の1分間スピーチ、
家族を置いて友人と海外旅行に行く奔放さ、
1時間以上歯を磨き「馬鹿でもいいから歯を磨け」という毎日の言葉、
俺の事はいいから和美(母親)のことはずっと大事にしろと言う酔った背中、
その親父が死んで、それまでちゃらんぽらんだった人生を真剣に考えた19歳の冬。
それから14年目、この日記を書いている自分。
今、本当に自分が大事なものを考える、考える、考える、考える、考える。
今、本当に自分がしたい事を考える、考える、考える、考える、考える。
考えているだけでは何も始まらない事は解っている。
そしてきっと明日の自分も、親父と同じように酒に呑まれるのだ。